痛風の治療では、発作の激痛を抑える処置をするとともに、尿酸値を低下させる薬が使われます。痛風をほうっておくと腎障害や糖尿病などの合併症を招くので、治療をつづけることが必要です。
尿酸を排泄する薬高尿酸血症の治療に使用される薬には、大きく分けて2種類あります。一つは体内で合成される尿酸の排泄を促進する尿酸排泄促進薬で、もう一つは体内で合成される尿酸の働きを抑制する尿酸合成阻害薬です。
尿酸排泄促進薬
日本で使用できる高尿酸血症治療薬は、尿酸排泄促進薬のベンズプロマロンと尿酸合成阻害薬のアロプリノールの2種類です。ベンズプロマロンは、尿酸排泄作用が強く、アスピリンとの相互作用が少ない薬です。一部の特異体質の人以外は、副作用はほとんどありませんが、念のため、肝障害のチェックを受けましょう。尿酸排泄促進薬は、尿酸の排泄が悪いために血液中の尿酸が増え、上昇した尿酸値を下げる必要のある患者に用いられます。しかし、尿中へ排泄される尿酸の量が増えるために尿酸の結晶が腎臓に沈着して、腎臓が機能障害を起こすことがあります。
尿酸の生成を抑える薬尿酸合成阻害薬
尿酸が生成されることを抑え、尿酸値を下げる薬を尿酸合成阻害薬といいます。各医薬品メーカーがさまざまな商品名をつけて販売していますが、どれもアロプリノールという薬です。
アロプリノールは、現在唯一の尿酸合成阻害薬といってよく、日本では1970年から使用されています。例外を除き、1日2回、200~400mgを12時間間隔で服用します。
副作用は、軽い肝機能障害や湿疹などが起こることがありますが、心配ありません。ごく稀に、再生不良性貧血や劇症肝炎が起こることがあります。特に、腎臓に障害のある患者に副作用が起きやすいので、注意が必要です。
一般的にアロプリノールは副作用が少なく、長期にわたって飲みつづけても心配のない薬です。この薬によって尿酸値のコントロールができれば、痛風結節を改善することも可能です。
薬の効果がないとき高尿酸血症の人が、薬物治療を始めた初期の段階で痛風発作を起こすことがあります。
痛風発作は血清尿酸値が急上昇したときに起こるのがふつうです。しかし、上昇していた尿酸値が急激に下降したときにも、発作を起こすことがあるのです。これを、尿酸値の下降型発作といいます。薬物治療を始めて3~6カ月ほどたつと血清尿酸値が安定するので、痛風発作は起きなくなります。
尿酸値を増加させる薬に注意する尿酸値を上昇させる原因となるものに、ほかの生活習慣病を冶療するために服用している薬があります。
その代表的なものが高血圧症を治療する降圧利尿薬です。高尿酸血症の人がこの薬を服用すると尿酸値が上がるので、病状が悪化することがあります。尿酸値を上昇させる治療薬のおもなものには、次のものがあります。
●サイアザイド系利尿薬=ダイクロトライド
●ループ利尿薬=フロセミド
●抗結核薬=ピラジナミド、エタンブトール
●消炎鎮痛薬=少量のサリチル酸(アスピリン)
●パーキンソン病治療薬=レポドパ